夢物語5
長い廊下の先にある畳の部屋に、
白い何かが浮いている。
イヤな予感がする。
恐る恐るだが歩いた。
見なきゃいけない。
なんだ…?
裸の人間だった。
真っ白な肌は乾いて今にも崩れそうだ。
体育座りのような格好で浮いている。
叫び声をあげそうになったが、
口を押さえてどうにかやり過ごす。
怖くて涙が止まらない。
部屋の反対側にふすまがあった。
ふすまをあけると、そこには年配の男性と女性がいた。
あの白い人間の両親だろう。
二人とも座っている。
女性は首をもたげていて顔が見えない。
伝えなければと思い、ガクガクと震えながら口を開いた。
「あの子…多分…病気で…」
その後の言葉につまった。
病気になった理由を知っている気がする。
思い出せない。
すると母親と思わしき女性が
足を腕で掴んできた。
「どうして…」
ものすごい力で足を掴まれたので、
バランスを崩して床に手をついた。
母親の乱れた髪の間から顔が見えた。
恐ろしい顔でこちらを睨みつけている。
「どうしてなの!!
どうしてあの子なの!!
どうして!!」
母親は泣き叫んでいる。
男性に助けを求めたかったが、
頭を抱えて俯いてしまっている。
どうにか腕を振り解き、走った。
走って、走って、逃げた。
逃げた先の林の中に、木造の不思議な建造物があった。
幾何学的な形をしていて、中央に水が流れている
水のそばに行くと、そこにはヘビとカエルがいた。
「ここまでくれば…」
顔の近くを通るヘビを見ながら、
そう呟いた。